日本の蹄鉄
古くから馬沓という藁製の馬蹄保護具が用いられていたが、西洋式の金属製蹄鉄が使われるようになったのは明治以降のことである。蹄鉄技術は各国から日本に導入されたが、なかでも陸軍は、明治6年にフランスから装蹄教官を招き、のち明治23年にはドイツ人教官を招聘して蹄鉄技術の導入と定着に大きな役割を果たした。明治時代を通じて蹄鉄は全国に広まったが、農山村部に普及したのは大正期である。明治23年に蹄鉄工免許規則が制定され蹄鉄工は国家資格とされた。蹄鉄工の養成は獣医学校や農学校付属の蹄鉄専科で行われ、一年間で卒業して免状を授与された。
蹄鉄の技術は軍隊に欠かせないものであったが、日清・日露戦争で日本陸軍は蹄鉄工の不足に苦しんだ。日中戦争から太平洋戦争にかけて、陸軍は蹄鉄工を重視していた。役場の兵事係は、蹄鉄技術を持つ民間人を事前に登録、動員時には優先的に召集令状を送って蹄鉄工の確保に努めた。軍隊内でのベテランである蹄鉄工長には、民間の獣医学校で学んで獣医になる道も用意されていた。
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